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プログラム2・・・沈黙のリスナーさんへ感謝をこめて


神代植物公園の梅園で篠笛の演奏をさせて頂きました。3月の7日と8日の2日間にわたり、約40分×4回のコンサートでした。

梅の香りが漂う場所でのコンサートということで、プログラム構成はシチュエーションを邪魔しないよう、既成イメージの強い有名な曲を少なめに、逆に一般
的に知らない曲(私のオリジナル部分が多い曲)を多めにしました。有名じゃない曲なら固定したイメージがない分、梅林の間を風のように流れてくれる気が
したのです。

とはいえオリジナル曲を多くするのには不安もありました。退屈する人が出ないか?という事です。
そんな訳で本番はいつものように吹きながら一生懸命お客さんの気配に耳を傾けてみました。するといらっしゃるのです! 梅林の中に、梅の木のようにじっ
として、名も知らぬうたを風に吹かれるように聴いてくれている人達が。

もちろん、知らない曲に退屈している方もいらっしゃいます。そういう人達にも喜んでもらえるようにしたいです。でも今まで私はそういう方達の気配ばかり
聴いていたように思います。なぜならそういう場合の表現はとても外的で、演奏しながら聴き取りやすい気配なのです。

それに比べ、梅の木のように聴いてくれている人達はとても静かにしています。おそらく「聴く」ということの本質がそうさせるのでしょう。そういう人達の
内的で透明な響きが聴こえた時、私は自分の間違いに気付いたような気がしました。ちゃんと聴けてなかったのは私の方だったのかも知れません。本当に聴い
てくれていた方達の存在を、私は聴き取れていなかったのでは?

いつも聴きに来て下さる方が「今日はいつもと違う、成長してる」と言ってくれたのは、その回の終演後でした。
皆さん、聴いて下さってありがとうございました。私も聴こえました。