的確なお返事


先日飛行機の中で偶然 隣に座った女の子に訊かれました。


あやかちゃん:「何しに行くの?」

私      :「お仕事」

あやかちゃん:「毎日?たまたま?」

私      :「・・・どっちかというとたまたま、かなぁ。」

あやかちゃん:「どうして?」

さらに私の手に文庫本があるのを見て 「本読むの?どうして?」

私がCAさんに毛布を頼んだ時も「どうして?」


羽田から長崎までの間にたくさんの「どうして」を浴びるうち、その都度的確に答えられない自分

にいらついてきましたが、そのうちに私の方もそれなりの答え方を編 み出しました。

「ついつい」という言葉です。面白いことにおおよその質問にはこれで事が足りるのです。


「ついつい・・・」と言うセリフはどこか無責任な響きを含んでいます。

でも、この自信なさげな響きを何度も繰り返すうちになかなか良いお返事のようにも思えて

きました。「たいした理由もないのにそうしている」というニュアンスの他に、ひょっとしたら「説明は

できないけど、どうでも良くてやってる訳じゃないの。きっと無意識にやってしまうほど必然的なこ

となの」という意味合いもあるのでは?と思ったからです。

そう思ったら、簡潔だけどいまいち「とりあえず」っぽい答えをするよりは「ついつい」のほうがよっ

ぽどましなような気がしてきたのです。あやかちゃん が納得してくれたかどうかはわからないので

すが、計り知れない自分と付き合っていかなければならない大人にとって、「つい」はけっこう誠

実な言葉になり得るのかも。

すごいぞ「ついつい」!見直したぞ「ついつい」!・・・って盛り上がるほどのことではないのですが、

的確な言葉が見つけられなくても理由も無しにそうしているとは限らない、かえってそこには

すごく大事な答えが隠れているのかも知れません。



Q1 どうしてコーヒーじゃなく紅茶派なの?

Q2 どうしてすぐ自転車の鍵をなくしちゃうの?

Q3 どうして笛を吹いているの?


あんな・こんな はてなに出くわした時にうっすらと姿を現す「ついつい」 を

ちょっとだけ大切に暮らしてみようと思いました。
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